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特定の居住用財産の買換えの特例2

特定の居住用財産(以下マイホームとします)を、2019年12月31日までに売却して、代わりのマイホームに買い換えたときは、一定の要件のもと、譲渡益に対する課税を将来に繰り延べることができる特例(「特定の居住用財産の買換えの特例」)について、前回の投稿で記載しました。今回はこの特例を受ける場合で、マイホームを売却した金額より、買い換えた金額の方が少ないときの譲渡所得の計算について、記載したいと思います。

マイホームの買換えの特例を受ける場合の譲渡所得の計算は、下記のとおりとなります。

1・売却した金額 ≦ 買い換えた金額の時
所得税の課税が将来に繰り延べられ、売却をした年については譲渡所得がなかったものとされます。

2・売却した金額 > 買い換えた金額
その差額を収入金額として譲渡所得の金額の計算を行います(下記参照)。
(1) 収入金額の計算 売却した金額-買い換えた金額
(2) 必要経費の計算 
(売却したマイホームの取得費+譲渡費用)×((1)÷売却した金額)
(3) 譲渡所得の計算  (1)-(2)

例えば、売却したマイホームの金額が5,000万円、買い換えたマイホームの金額が4,000万円、売却したマイホームの取得費が2,000万円、 売却のためにかかった費用が300万円の場合ですと次のような計算になります。

(1)収入金額の計算 売却した金額-買い換えた金額 
=5,000万円-4,000万円=1,000万円

(2)必要経費の計算 (売却したマイホームの取得費+譲渡費用)×((1)÷売却した金額)
=(2,000万円+300万円)×(1,000万円÷5,000万円)=460万円

(3)譲渡所得の計算 (1)-(2)=1,000万円-460万円=540万円

税率については、マイホームの買換えの特例の適用要件より、長期譲渡所得の税率が適用されます。

具体的には、所得税15.315%(復興特別所得税を含む)、住民税5%の税率となります。

なお、マイホームの買換えの特例を受けるための適用要件の詳細については、こちらのページをご確認ください。

特定の居住用財産の買換えの特例1

特定の居住用財産(以下マイホームとします)を、2019年12月31日までに売却して、代わりのマイホームに買い換えたときは、一定の要件のもと、譲渡益に対する課税を将来に繰り延べることができます(譲渡益が非課税となるわけではありません)。この特例を「特定の居住用財産の買換えの特例」といいます。

例えば、1,000万円で購入したマイホームを3,000万円で売却して、5,000万円のマイホームに買い換えた場合には、通常の場合、2,000万円の譲渡益が課税対象となります。しかし、この特例の適用を受けた場合、売却した年分で譲渡益への課税は行われず、買い換えたマイホームを将来譲渡したときまで譲渡益に対する課税が繰り延べられます。

上記の例により説明します。 買い換えたマイホームを例えば将来6,000万円で売却した場合、売却価額6,000万円と購入価額5,000万円との差額である1,000万円の譲渡益(実際の譲渡益)に対してだけ課税されるのではなく、実際の譲渡益1,000万円に、特例の適用を受けて課税が繰り延べられていた2,000万円の譲渡益(課税繰延べ益)を加えた3,000万円が、譲渡益として課税されます。

次に「特定の居住用財産の買換えの特例」を受けるための適用要件ですが、下記のとおりです。
(1)居住用財産の譲渡であること(詳細についてはこちらをご確認ください)。

(2)売却した年、その前年及び前々年に下記の特例の適用を受けていないこと。
・マイホームを譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
・マイホームを売却したときの軽減税率の特例
・マイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例

(3)売却したマイホームと買い換えたマイホームは、日本国内にあるもので、売却したマイホームについて、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けないこと。

(4)売却価額が1億円以下であること。

(5)売却した人の居住期間が10年以上で、かつ、売却した年の1月1日において売却した家屋やその敷地の所有期間が共に10年を超えるものであること。 なお、一時居住しなかった期間がある場合は、その期間を除きます。

(6)買い換える建物の床面積が50㎡以上のものであり、買い換える土地の面積が500㎡以下のものであること。

(7)マイホームを売却した年の前年から翌年までの3年の間に、マイホームを買い換えること。また、そのマイホームに一定期限までに住むこと。 買い換えたマイホームを住まいとして使用を開始する期限は、そのマイホームを取得した時期により次のようになります。
・売却した年かその前年に取得したときは、売却した年の翌年12月31日まで
・売却した年の翌年に取得したときは、取得した年の翌年12月31日まで

(8)買い換えるマイホームが、耐火建築物の中古住宅である場合には、取得の日以前25年以内に建築されたものであること、または、一定の耐震基準を満たすものであること。

(9)買い換えるマイホームが、耐火建築物以外の中古住宅である場合には、取得の日以前25年以内に建築されたものであること、または、取得期限までに一定の耐震基準を満たすものであること。  

ただし、この要件は、2018年1月1日以後に譲渡資産の譲渡をし、かつ、2018年4月1日以後に買換資産を取得する場合に適用されます。 2018年1月1日前に譲渡資産を譲渡した場合や、2018年4月1日前に買換資産を取得した場合には適用されません。

「特定の居住用財産の買換えの特例」を受けるためには、譲渡所得の内訳書や登記事項証明書、売買契約書などの定められた書類を添えて確定申告をすることが必要です。

居住用財産(マイホーム)を譲渡した場合の特別控除の特例

居住用財産(マイホーム)を売却したときは、所有期間が長期か短期かに関係なく、譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例があります。これを「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」といいます。譲渡所得金額の計算は、下記の式のとおりです。
譲渡価額(収入金額)-(取得費 + 譲渡費用)- 3,000万円 = 譲渡所得金額
譲渡所得が3,000万円に満たない場合、特別控除額は、その譲渡所得の金額が限度となります。

・この特例の対象となるのは、次のいずれかに該当する居住用財産を売却した場合です。

(1) 現に自分が住んでいる家屋を売却するか、家屋とともにその敷地や借地権を売却した場合。

(2) 過去に住んでいた家屋や敷地等を売却したケースでは、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却した場合。  

住んでいた家屋または住まなくなった家屋を取り壊した場合は、次の2つの要件全てに当てはまることが必要です。

イ その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること。

ロ 家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと。

(3) 災害によって滅失した家屋の場合は、その敷地を住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却した場合。

・次のような場合には、この特例を受けることはできません。

(1) 売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係である場合。
特別な関係には、このほか生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。

(2) この特例を受けることだけを目的として入居したと認められる家屋を売却した場合 。

(3) 居住用家屋を新築する期間中だけ仮住まいとして使った家屋、その他一時的な目的で入居したと認められる家屋を売却した場合。

(4) 別荘などのように主として趣味、娯楽または保養のために所有する家屋を売却した場合。

(5) 売却した年の前年及び前々年にこの特例または居住用財産の譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けている場合。

  (6)  売却した年、その前年及び前々年に居住用財産の買換えや居住用財産の交換の特例の適用を受けている場合。

(7)  売却した家屋や敷地について、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けている場合。

・この特例を受けるためには、確定申告をすることが必要です。

確定申告書には「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用] 」を添付することが必要です。

なお、売買契約日の前日においてその居住用財産を売った人の住民票に記載されていた住所とその居住用財産の所在地とが異なる場合などには、戸籍の附票の写し、消除された戸籍の附票の写し、その他これらに類する書類で、その居住用財産を売った人がその居住用財産を居住の用に供していたことを明らかにするものを、併せて提出することが求められています。

居住用財産を譲渡したときの税金

土地建物等を譲渡したときの譲渡所得に対する税金は、給与所得や事業所得などの所得とは別に、計算することになっています(申告分離課税)。譲渡所得の金額は、土地建物等を譲渡した譲渡価額から、必要経費として取得費及び譲渡費用を差し引いた譲渡益より、特別控除などを控除して計算します。自分が住んでいる家屋やその敷地などの居住用財産の譲渡である場合は、一定の要件を満たせば、①3,000万円の特別控除、②買換え特例、③買換えの損失の繰越控除、④譲渡損失の繰越控除、⑤軽減税率などの特例の適用を受けることができ、譲渡所得にかかる税金を軽減することが可能となります。

居住用財産を譲渡した場合の各種の特例を適用するときの「居住用財産の譲渡」とは、下記のいずれかに該当するものをいいます。

・現在、自分が居住している家屋を譲渡するか、その家屋とともにその敷地や借地権を譲渡した場合。

・以前に居住していた家屋を譲渡するか、その家屋とともに敷地である土地等を譲渡した場合で、かつ住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡した場合。

・現在、居住している家屋または以前に居住していた家屋を取り壊し、その敷地であった土地等を譲渡した場合で、かつ次の2つの要件を全て満たす場合。

(1)その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること。

(2)家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと。

また、土地建物等の譲渡の相手方が、親子や夫婦など特別の関係がある人に対して譲渡した場合は、特例の適用対象になりません。特別の関係には、生計を一にする親族、家屋を譲渡した後に当該家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。

①3,000万円の特別控除、②買換え特例、③買換えの損失の繰越控除、④譲渡損失の繰越控除、⑤軽減税率などの特例の適用要件などは、次回以降に説明していく予定です。

土地建物等を売却したときの税金

土地建物等を売却したときの譲渡所得に対する税金は、給与所得や事業所得などの所得とは別に、計算することになっています(申告分離課税)。譲渡所得の金額は、土地建物等を売却した譲渡価額から、必要経費として取得費及び譲渡費用を差し引いた譲渡益より、特別控除などを控除して計算します。計算式で表すと下記のようになります。
譲渡価額 ―(取得費 + 譲渡費用)― 特別控除 = 譲渡所得金額

取得費とは、売却した土地建物等を取得したときの購入代金や購入手数料などに、取得後に支出した改良費、設備費などを合計した金額をいいます。建物の取得費については、所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて計算します。

なお、土地建物等の取得費が不明な場合や、実際の取得費が譲渡価額の5%よりも少ない場合は、譲渡価額の5%を取得費(概算取得費)とすることができます。

また、相続財産を一定期間内に譲渡した場合は、譲渡資産にかかる相続税のうち一定の額を取得費に加算できる特例が設けられています。

譲渡費用とは、土地建物等を売却するために支出した費用をいい、仲介手数料、測量費、売買契約書の印紙代、売却するときに借家人などに支払った立退料、建物を取り壊して土地を売るときの取壊し費用などです。

通常の譲渡の場合は、特別控除がありませんが、一定の要件を満たす譲渡(マイホームや空き家の譲渡、収用等による譲渡など)については、特例の適用を受けることで譲渡所得から特別控除を差し引くことができます。

土地建物等を売却したときの譲渡所得は、その所有期間によって短期譲渡所得と長期譲渡所得の二つに区分し、税金の計算も別々に行います。短期譲渡所得とは譲渡した年の1月1日において所有期間が5年以下のものをいいます。長期譲渡所得とは譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるものをいいます。

所有期間とは、土地建物等の取得の日から譲渡の日までの所有していた期間をいいます。取得日および譲渡日は、原則として、資産の引渡しがあった日をいいますが、売買契約等の効力発生日(新築マンションや請負の注文住宅などを除く)とすることが認められています。なお、相続や贈与により取得したものは、原則として、被相続人や贈与者の取得日が引き継がれます。

税務上の所有期間は、取得日の翌日から起算して、譲渡年の1月1日時点で判定するため、実際の所有期間と異なる場合がありますので注意が必要です。平成30年中の譲渡の場合、平成24年12月31日以前に取得したものは長期譲渡所得になり、平成25年1月1日以後に取得したものは短期譲渡所得となります。

税額は、譲渡所得金額に税率を乗じて計算しますが、短期譲渡所得と長期譲渡所得では、下記のとおり税率が異なります。

所得税 住民税
短期譲渡所得 30% 9%
長期譲渡所得 15% 5%

(注)所得税額に対して2.1%の復興特別所得税が加算されます

なお、所有期間10年超のマイホームを売却した場合などの一定の要件を満たす譲渡には、軽減税率が設けられています。

災害等にあったときの所得税の取り扱い(災害減免法による軽減免除)

地震や台風などの災害により被害を受けられた皆様方には、心からお見舞い申し上げます。地震、火災、風水害などの災害によって、住宅や家財などに損害を受けたときは、(1)確定申告で 所得税法に定める雑損控除の方法、(2)災害減免法に定める所得税の軽減免除による方法のいずれか有利な方法を選ぶことによって、所得税の全部又は一部を軽減することができます。前回は、雑損控除について説明をさせていただきましたので、今回は、災害減免法による所得税の軽減免除について説明させていただきます。

(災害減免法による所得税の軽減免除)
災害によって受けた住宅や家財の損害金額が、その時価の2分の1以上で、かつ、災害にあった年の所得金額の合計額が1,000万円以下のときにおいて、その災害による損失額について雑損控除を受けない場合は、災害減免法によりその年の所得税が軽減されるか又は免除されます。

・災害減免法による所得税の軽減免除の対象となる資産の要件は次のとおりです。

1・ 資産の所有者が(1)納税者、(2)納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族で、その年の総所得金額等が38万円以下の方のいずれかであること

2・住宅及び家財で、災害によって受けた損害金額が住宅又は家財の価額の2分の1以上であること

住宅とは、自己または扶養親族が常時起居する家屋であり、別荘は対象外となります。また、その家屋に付随する倉庫や物置等も対象となります。家財とは、日常生活に通常必要な家具、什器、衣服、書籍等の家庭用動産であり、書画、骨とう、娯楽品等は対象外となります。
住宅や家財の損害金額は、保険金や損害賠償金などにより補てんされる金額を除いた金額となります。

・所得税の軽減額は次のとおりです。

その年分の所得金額 所得税及び復興特別所得税の軽減額
500万円以下 全額免除
500万円超 750万円以下 2分の1の軽減
750万円超 1,000万円以下 4分の1の軽減

・適用を受けるための手続き
災害減免法による所得税の軽減免除の適用を受けるためには、確定申告書等に適用を受ける旨、被害の状況及び損害金額を記載して、納税地の所轄税務署長に確定申告書等を提出することが必要です。確定申告書等に記載する損害金額は、保険金や損害賠償金などにより補てんされる金額を除いた金額となります。

なお、災害減免法による所得税の軽減免除には、繰越控除の制度はありませんので、減免を受けた年の翌年分以降は、減免を受けることはできません。

災害等にあったときの所得税の取り扱い(雑損控除)

地震や台風などの災害により被害を受けられた皆様方には、心からお見舞い申し上げます。地震、火災、風水害などの災害によって、住宅や家財などに損害を受けたときは、(1)確定申告で 所得税法に定める雑損控除の方法、(2)災害減免法に定める税金の軽減免除による方法のいずれか有利な方法を選ぶことによって、所得税の全部又は一部を軽減することができます。今回は雑損控除について説明をさせていただき、次回に災害減免法に定める税金の軽減免除について説明させていただきます。

(雑損控除)
災害又は盗難若しくは横領によって、資産について損害を受けた場合等には、一定の金額の所得控除(雑損控除)を受けることができます。震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害だけではなく、火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害、害虫などの生物による異常な災害も雑損控除の対象となります。

雑損控除の対象となる資産の要件は次のとおりです。
1・ 資産の所有者が(1)納税者、(2)納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族で、その年の総所得金額等が38万円以下の方のいずれかであること

2・住宅及び家財を含む生活に通常必要な資産であって、棚卸資産もしくは事業用固定資産等または「生活に通常必要でない資産」のいずれにも該当しない資産であること

「生活に通常必要でない資産」とは、別荘や競走馬、1個又は1組の価額が30万円を超える貴金属、書画、骨とう等をいいます

雑損控除の金額は、次の二つのうちいずれか多い方の金額です。
1・ (差引損失額)-(総所得金額等)×10%

2・ (差引損失額のうち「災害関連支出」の金額)-5万円

差引損失額とは、損害金額と「災害関連支出」の金額の合計から、保険金や損害賠償金などにより補てんされる金額を差し引いた金額です。

「災害関連支出」とは、災害により滅失した住宅、家財などを除去するための費用などの災害に関連したやむを得ない支出をいいます。

雑損控除を受けるためには、確定申告書に雑損控除に関する事項を記載するとともに、災害等に関連したやむを得ない支出の金額の領収を証する書類を添付するか、確定申告書を提出する際に提示する必要があります。

なお、雑損控除の金額について、その年分の所得金額から控除しきれない金額がある場合には、翌年以後3年間繰り越して各年分の所得金額から控除することができます。

雑損控除とは別に、その年の所得金額の合計額が1,000万円以下の人が災害にあった場合は、災害減免法に定める税金の軽減免除があり、納税者の選択によりどちらか有利な方法を選択することができます。災害減免法に定める税金の軽減免除については、次回に説明させていただきます。

e-Taxの利用の簡便化

国税庁では、マイナンバーカードに標準的に搭載される電子証明書やマイナポータルの連携機能の活用などにより、個人納税者がe-Tax利用をより便利にするためのシステム改修を進めており、平成31年(2019年)1月からマイナンバーカード方式とID・パスワード方式の2つの方式が利用できるようになる予定です。
また、平成31年(2019年)1月から、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」では、スマートフォンやタブレットPCでも所得税の確定申告書の作成が可能となります。さらに、個人納税者に係るe-Taxのメッセージボックスの閲覧については、セキュリティ対策の観点から、平成31年(2019年)1月以降、原則としてマイナンバーカード等の電子証明書が必要になります。
以下において、e-Tax利用の簡便化の2つの方式について少し詳しくご説明いたします。

e-Tax利用の簡便化の2つの方式について

<マイナンバーカード方式>
マイナンバーカードを用いて、マイナポータル経由またはe-Taxホームページなどから、e-Taxへログインするだけで、より簡単にe-Taxの利用を開始し、申告等データの送信ができるようになります。

現行の方式では、e-Taxを利用するためには、事前に税務署長へ届出をし、e-Tax用のID・パスワードの通知を受け、これらを管理・入力する必要がありますが、マイナンバーカード方式では、そのような手間が不要となります。

既にマイナンバーカードをお持ちでe-Taxを利用している場合は、平成31年(2019年)1月以降、e-Taxのログイン画面でマイナンバーカードを読み込ませ、現在利用中のe-TaxのID・パスワードを登録する必要があります。次回以降はマイナンバーカードだけで、e-TaxのID・パスワードを入力することなくe-Taxの利用が可能となります。なお、マイナンバーカード方式を利用するに当たって、申請書の提出などは不要です。

この方式でe-Tax利用を利用する時には、マイナンバーカードおよびICカードリーダライタが必要となります。

<ID・パスワード方式>
マイナンバーカードおよびICカードリーダライタを持っていない方については、税務署で職員との対面による本人確認に基づいて税務署長が通知した「ID・パスワード方式の届出完了通知」に記載された e-Tax用のID・パスワードのみで、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」からe-Taxによる送信ができるようになります。

ID・パスワード方式を利用するためのID については、税務署で職員と対面による本人確認を行った後に「ID・パスワード方式の届出完了通知」を発行しますので、この方式を利用する時には、運転免許証などの本人確認書類を持参の上、近くの税務署に行き手続を行う必要があります。

ID・パスワード方式は、マイナンバーカードおよびICカードリーダライタが普及するまでの暫定的な対応(導入後、概ね3年を目途に見直し)として行われますので、早めにマイナンバーカードを取得することをお勧めします。

なお、平成31年(2019年)1月以降、e-Tax利用の簡便化が始まりますが、利用者識別番号や電子証明書を使った従来の方法でもe-Taxによる電子申告ができます。

 

住宅宿泊事業(民泊)により得た所得の税金

2018年6月から施行されている住宅宿泊事業法に基づき、同法に規定する住宅宿泊事業(いわゆる民泊)を営むことで生じる所得は、雑所得として所得税の課税対象となります。所得税法上、「不動産の貸付けによる所得」は、原則として不動産所得に区分されます。しかし、住宅宿泊事業は、以下の点において、一般的な不動産の貸付け(賃貸)とは異なるため、原則として雑所得に区分されると考えられます。

・宿泊者の安全等の確保や一定程度の宿泊サービスの提供が、宿泊施設の提供者に義務づけられている。

・利用者から受け取る対価には、部屋の使用料のほか、寝具等の賃貸料やクリーニング代、水道光熱費、室内の清掃費、日用品費、観光案内等のサービスの提供の対価などが含まれている。

・住宅宿泊事業に利用できる家屋は、現に人の生活の本拠として使用されている家屋等に限定されており、その宿泊日数も制限されている。

ただし、不動産賃貸業を営んでいる事業者が、契約期間の満了等による不動産の貸付けを終了した後、次の賃貸契約が締結されるまでの間、当該不動産を利用して一時的に住宅宿泊事業を行った場合に得る所得は、雑所得とせず、不動産所得に含めることも認められています。

また、専ら住宅宿泊事業による所得により生計を立てているなど、その住宅宿泊事業が、所得税法上の事業として行われていることが明らかな場合には、その所得は事業所得となります。

住宅宿泊事業による所得金額は、住宅宿泊事業に係る収入金額から必要経費を控除することで算出します。必要経費に算入できる費用には、例えば次のようなものがあります。

・住宅宿泊仲介業者に支払う仲介手数料

・住宅宿泊管理業者等に支払う管理費用や広告宣伝費

・水道光熱費

・通信費

・非常用照明器具の購入及び設置費用

・宿泊者用の日用品等購入費

・住宅宿泊事業に利用している家屋の減価償却費

・固定資産税

・住宅宿泊事業用資金の借入金利子

住宅宿泊事業による所得を得るために支出した費用のうち、住宅宿泊仲介業者に支払う仲介手数料や住宅宿泊管理業者に支払う管理費用や広告宣伝費など、専ら住宅宿泊事業を行うための費用については、その全額を必要経費に算入することができます。

それに対して、水道光熱費、通信費、減価償却費、固定資産税など、業務用部分と生活用部分の費用の両方が含まれているものについては、住宅宿泊事業に関する部分(業務用部分)の金額のみ必要経費に算入することができます。

住宅宿泊事業に関する部分の金額については、合理的な方法により区分して計算することになります。例えば、主に住宅宿泊事業に利用している部分の床面積の総床面積に占める割合や実際に宿泊客を宿泊させた日数を基にするなどして計算することが考えられます。

なお、生計を一にする配偶者その他の親族に支払う地代家賃等は必要経費に算入できませんので注意する必要があります。

住宅宿泊事業法に規定する住宅宿泊事業により生じる所得の所得区分や必要経費の範囲についての詳細、当該事業を営む場合の住宅借入金等特別控除の適用等についは、こちら(国税庁webサイト)をご確認ください。

事業承継税制(平成30年度税制改正)

平成30年度の税制改正において、事業承継税制について、これまでの措置(以下「一般措置」とします)に加え、10年間の措置として、納税猶予の対象となる非上場株式等の制限(総株式数の3分の2まで)の撤廃や、相続税の納税猶予割合の引上げ(80%から100%)等がされた特例措置(以下「特例措置」とします)が創設されました(2018年1月1日から2027年12月31日までの相続または贈与について適用)。

事業承継税制とは、後継者である受贈者・相続人等が、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(円滑化法)の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与または相続等により取得した場合において、その非上場株式等に係る贈与税・相続税について、一定の要件のもと、その納税を猶予し、後継者の死亡等により、納税が猶予されている贈与税・相続税の納付が免除される制度です。

特例措置を受けるためには、会社の後継者や承継時までの経営見通し等を記載した「特例承継計画」を策定し、認定経営革新等支援機関の所見を記載の上、2023年3月31日までに都道府県知事に提出し、その確認を受けることが必要です。

一般措置と特例措置を比較すると下記のような違いがあります。

(対象株式数及び納税猶予割合)
一般措置では、納税猶予の対象になるのは、発行済議決権株式総数の2/3までであり、贈与税の納税猶予割合は100%ですが、相続税の納税猶予割合は80%です。そのため、相続税については、実際に猶予される納税額は全体の約53%(2/3×80%)にとどまることになります。

特例措置では、納税猶予の対象株式数の上限を撤廃し、議決権株式の全てが猶予対象となり、相続税についても納税猶予割合は100%に拡大されています。そのため、事業承継に係る金銭的な負担はゼロとなります。

(承継パターン)
一般措置では、一人の先代経営者から一人の後継者へ贈与・相続される場合のみが対象となります。

特例措置では、親族外を含む複数の株主から、代表者である後継者(最大3人)への承継も対象になります。

(雇用確保要件)
一般措置では、事業承継後5年間平均で、雇用の8割を維持することが求められています。仮に雇用8割を維持出来なかった場合には、猶予された贈与税・相続税の全額を納付する必要があります。

特例措置では、5年間の雇用平均が8割を維持出来なかった場合でも猶予は継続可能となっています。ただし、5年間の雇用平均8割を満たせなかった場合には、その理由の報告が必要となります。また、経営悪化が原因である場合等には、認定支援機関による指導助言が必要となります。

(経営環境変化に応じた減免制度)
一般措置では、後継者が自主廃業や売却を行う際、経営環境の変化により株価が下落した場合でも、承継時の株価を基に贈与・相続税を納税するため、税負担が過大になる可能性があります。

特例措置では、売却額や廃業時の評価額を基に納税額を再計算し、事業承継時の株価を基に計算された納税額との差額を減免することにより、経営環境の変化による将来の不安を軽減しています。

(相続時精算課税の適用範囲)
一般措置では、60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫への贈与が、相続時精算課税制度の対象となっています。

特例措置では、60歳以上の贈与者から、20歳以上の後継者への贈与を相続時精算課税制度の対象とされていますので、贈与者の子や孫でない場合でも適用可能となっています。