消費税の簡易課税制度の適用に関する特例

消費税の簡易課税制度の適用に関しては、現行法において、「災害その他やむを得ない理由が生じたことにより被害を受けた場合」 の特例が設けられています(消費税法 37 条の2)。「災害その他やむを得ない理由が生じたことにより被害を受けた場合」には、地震や風水害などの自然災害により被害を受けた場合だけではなく、新型コロナウイルス感染症の影響による被害を受けた場合も該当します。

消費税の納付税額は、課税売上げに係る消費税額から、課税仕入れ等に係る消費税額を控除して計算するのが原則です。しかし、その課税期間の前々年又は前々事業年度の課税売上高が5,000万円以下で、簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を事前に提出している場合は、実際の課税仕入れ等の税額を計算することなく、課税売上高から仕入控除税額の計算を行うことができる簡易課税制度の適用を受けることができます。

簡易課税制度の適用を受けるためには、納税地を所轄する税務署長に、原則として適用しようとする課税期間の開始の日の前日までに(事業を開始した日の属する課税期間である場合には、その課税期間中に)、「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出する必要があります。

また、簡易課税制度の適用をとりやめて実額による仕入税額の控除を行う場合には、原則として、適用をやめようとする課税期間の開始の日の前日までに、「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出する必要があります。

しかし、消費税の簡易課税制度の適用に関しては、「災害その他やむを得ない理由が生じたことにより被害を受けた場合」の特例が設けられており、新型コロナウイルス感染症の影響による被害を受けたことにより、簡易課税制度の適用を受ける(又はやめる)必要が生じた場合も、税務署長の承認により、その被害を受けた課税期間から、その適用を受ける(又はやめる)ことができます。

新型コロナウイルス感染症等の影響による被害を受けたことで、

・通常の業務体制の維持が難しく、事務処理能力が低下したため簡易課税へ変更したい

・ 感染拡大防止のために緊急な課税仕入れが生じたため一般課税へ変更したい

などの事情がある事業者は、納税地の所轄税務署長の承認を受けることにより、課税期間開 始後であっても、簡易課税制度を選択する(又は選択をやめる)ことができます。

感染拡大防止のための緊急な課税仕入れとしては、例えば下記のようなものが考えられます。

・ 従業員を分散して勤務させるため、別の事務所を緊急で借り上げた

・ 感染予防のため、パーティションを設置するなどの増設工事を行った

・ 消毒液やマスクなどの衛生用品を大量に購入した

簡易課税制度の適用に関する特例を受けるためには、新型コロナウイルス感染症等の影響による被害がやんだ日から2月以内に「災害等による消費税簡易課税制度選択(不適用)届出に係る特例承認申請書」と併せて、「消費税簡易課税制度選択(不適用)届出書」を納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。

被害のやんだ日が、その申請に係る課税期間の末日の翌日(個人事業者の場合は、その末日の翌日から 1 月を経過した日)以後に到来する場合には、その課税期間に係る確定申告書の提出期限までに、上記の書類を納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。

なお、この特例の適用を受ける場合、2年間の継続適用要件は適用されません。また、調整対象固定資産や高額特定資産等を取得した場合の「消費税簡易課税制度届出書」の提出制限も適用されません。