在宅勤務に係る費用の負担等に関する税務上の取り扱い

新型コロナウイルス感染症の拡大により、在宅勤務が広がっていますが、会社が従業員に在宅勤務手当を支給した場合、従業員の給与として課税する必要はあるのかなど税務上の取り扱いについて説明したいと思います。

在宅勤務手当としてではなく、在宅勤務に通常必要な費用について、その費用の実費相当額を精算する方法により、会社が従業員に対して支給する一定の金銭については、従業員に対する給与として課税する必要はありません。

例えば、在宅勤務のため従業員へ貸与する事務用品等や、在宅勤務に係る環境整備に関する物品等の購入した場合、給与として課税されないためには次のような方法が考えられます。

(1)会社が従業員に対して、在宅勤務に通常必要な費用として金銭を仮払いした後、 従業員が業務のために使用する事務用品等や在宅勤務に係る環境整備に関する物品等を購入して、その領収証等を会社に提出し購入費用の精算をする方法

(2)従業員が業務のために使用する事務用品等や在宅勤務に係る環境整備に関する物品等を立替払いにより購入した後、それに係る領収証等を会社に提出して購入費用を精算する方法

上記(1)の方法(会社が従業員に対して、在宅勤務に通常必要な費用として金銭を仮払いする方法)で、仮払いした金額が購入費用を超過する場合は、その超過部分を会社に返還する必要があります。超過した部分を従業員が会社に返還しなかったときは、超過部分はその従業員に対する給与として課税する必要があります。

在宅勤務に通常必要な費用について、その費用の実費相当額を精算する方法ではなく、会社が従業員に在宅勤務手当として毎月一定額を渡切りで支給した場合などは、従業員に対する給与として課税する必要があります。

なお、自宅に在宅勤務をするスペースがない従業員に対して、自宅近くのレンタルオフィス等で在宅勤務をすることを会社が認めている場合、上記の(1)または(2)の方法により、その費用の実費相当額を精算したときは、その金額について従業員に対する給与として課税する必要はありません。

また、会社が所有する事務用品等(パソコン等)を従業員に貸与する場合には、従業員に対する給与として課税する必要はありません。

しかし、会社が従業員に事務用品等を支給した場合(事務用品等の所有権が従業員に移転する場合)には、従業員に対する現物給与として課税する必要があります。

上記の貸与については、例えば、会社が専ら業務に使用する目的で事務用品等を従業員に支給という形で配付し、その配付を受けた事務用品等を従業員が自由に処分できず、業務に使用しなくなったときには返却を必要とする場合も、貸与として認められます。