ローカルベンチマーク(非財務情報)

ローカルベンチマークとは、企業の経営状態の把握、いわゆる「健康診断」を行うツールのひとつです。経済産業省のwebサイトにおいて、「ローカルベンチマークツール」が公表されています。「財務情報」(6つの指標)と「非財務情報」(4つの視点)に関する各データを入力することにより、企業の経営状態を把握するのに役立つということは、9月19日の記事でお知らせさせていただきました。財務情報については、10月23日の記事で少し詳しく記載させていただきました。今回は、非財務情報(4つの視点)について、少し詳しく記載させていただきます。

企業の実態や経営上の課題を理解するためには、財務情報だけではなく、非財務情報の把握が重要となります。また、非財務情報の分析を行うことは、財務数値の裏付けにもなります。非財務情報に着目して企業の強みや弱み、付加価値を生み出す源泉を理解することは、財務数値から情報を得にくい小規模の企業については、特に重要だと思われます。「ローカルベンチマークツール」では、非財務情報について、次の4つの視点による分析を行っています。

①経営者への着目
中小企業等においては、経営者が与える影響が大きく、経営者の優劣が企業の優劣を左右する面が強いと思われます。そのため、「経営者」自身について知ることが重要となります。
具体的には、経営者の事業に対する思い、事業の方向性、ビジョン、経営理念、地域経済界における立場、経営手腕などを知ることが重要となります。
また、事業の持続性を推し量る観点から、経営者が高齢の場合は事業承継の方針(後継者の有無)を確認することも欠かせません。

②企業を取り巻く環境、関係者への着目
企業を取り巻く市場環境を把握するとともに、販売先や取引先企業からの評価という視点も欠かせません。具体的な指標としては、顧客リピート率、主力取引先企業の推移などが考えられます。
また、企業経営において必要不可欠である従業員に関する項目につきましては、各項目間の関連性に着目するとともに、業界・地域内の平均と比較することで、企業の実態が見えてきます。具体的な指標としては、従業員定着率、従業員勤続日数、従業員の平均給与、年齢構成などが考えられます。
さらに、取引金融機関の数と推移を見ることで、企業に対する金融機関のスタンスや企業とメインバンクとの関係などを推し量ることができると思われます。そのような観点から、金融機関との対話の頻度や内容(企業の経営課題・将来性等)も重要な視点と言えるでしょう。

③事業への着目
企業の事業が何で収益を上げているのか、それをどのような仕組みで実現しているのかという点を理解するとともに、事業の強みと課題がどこにあるのかを把握することが重要です。具体的には、会社及び事業の沿革、商品等が会社から顧客に渡る過程における受発注、引渡し、代金決済等の流れ、市場規模・シェア、競合他社の状況、技術力、販売力の強みと課題などを把握することが重要と思われます。

④内部管理体制への着目
中小企業においては、属人的な経営も多いことが想定されることから、どの程度内部管理体制が整っているかという視点も重要と思われます。また、会社全体の方向性が合っているかを見るため、経営目標が社内で共有されているかを確認することも大切です。
内部管理体制を把握する際、会議の質(議題内容、経営目標について議論されているか、経営者以外の重要人物の有無等)を見ることも有効と思われます。そして、事業の推進に必要な人材が配置されているか、育成するシステムが構築されているかという点も着目する必要があると言えます。さらに、コンプライアンス上の問題がないかを検討することも大切だと言えます。

「ローカルベンチマークツール」はこちらの経済産業省のWebサイトをご覧ください。