所轄庁による社会福祉法人(以下「法人」とします)の指導監査については、これまで「社会福祉法人指導監査要綱の制定について」(以下「旧要綱」とします)により行われてきましたが、「社会福祉法等の一部を改正する法律」(平成28年法律第21 号)等による関係法令・通知の改正が行われ、「法人」の経営組織のガバナンスの強化等が図られたことから、「法人」の自主性・自律性を前提として、指導監査の効率化・重点化及び明確化を図るため、厚生労働省は、平成29 年4月27 日に「法人」の指導監査基準として「社会福祉法人指導監査実施要綱」(以下「新要綱」とします)を制定しました。
「新要綱」における指導監査は、「旧要綱」と同じく一般監査と特別監査の2類型で行われる点は変わりませんが、一般監査の周期について見直しが行われています。
法人本部の運営等について、特に大きな問題が認められない「法人」の指導監査の周期は、「旧要綱」では2年に1回とされていましたが、「新要綱」では原則として3年に1回としています。
また、「旧要綱」では、外部監査を活用した場合において、その結果等に基づき「法人」の財務状況の透明性・適正性が確保されていると判断されたときは、指導監査の周期を4年に1回とすることが可能とされていました。
「新要綱」では、会計監査人の監査や公認会計士、監査法人、税理士又は税理士法人(以下「専門家」とします)の活用を図った場合において、その結果等に基づき「法人」の財務状況の透明性・適正性が確保されていると判断されたときは、活用状況に応じて以下の取り扱いが可能とされています。
・会計監査人の監査が実施されている「法人」 5年に1回まで延長可能
・公認会計士又は監査法人による社会福祉法に準ずる監査を実施している「法人」 5年に1回まで延長可能
・「専門家」による財務会計の支援を受けた「法人」 4年に1回まで延長可能
上記のように、「新要綱」においては、経営組織のガバナンスの強化が図られている等、良好と認められる「法人」に対する指導監査の実施周期が延長されていますが、ガバナンス等に大きな問題があると認められる「法人」に対しては、継続的な監査を実施するなど、指導監査の重点化が図られています。
なお、谷公認会計士・税理士事務所では、社会福祉法に基づく会計監査、社会福祉法に準ずる会計監査、財務会計に関する内部統制の向上支援、財務会計に関する事務処理体制の向上支援などの業務も行っております。
社会福祉法人指導監査の省略・重点化については、こちらの記事をご覧ください。