早期経営改善計画の策定支援

平成29年5月29日より、経営改善支援センターにおいて、早期経営改善計画の利用申請の受付が開始されます。本事業は、資金繰り管理や採算管理などの基本的な内容の経営改善の取組を必要とする中小企業・小規模事業者を対象として、認定支援機関が資金実績・計画表やビジネスモデル俯瞰図などの経営改善計画の策定を支援し、計画を金融機関に提出することにより自社の経営を見直し、早期の経営改善を促進することを目的としています。早期経営改善計画策定支援に要する計画策定費用及びモニタリング費用の総額について、経営改善支援センターが、3分の2(上限20万円)を負担するものです。

従来の経営改善計画は、金融機関から返済条件の緩和等の支援を受けることを目的としており、金融調整を伴う本格的な経営改善計画書の作成が必要となります。それに対して、早期経営改善計画は、金融支援を目的とはせず、早期の経営改善を行うための資金実績・計画表やビジネスモデル俯瞰図などの基本的な計画を作成し、金融機関に計画書を提出するものです。

早期経営改善計画書を作成することにより、自社の経営課題の発見や分析が行われ、その対策を早い段階で実行することが可能となり、資金繰りについても適切に把握することが容易になります。また、自社の事業の将来像を金融機関に知らせることにより、支援が得られやすくなると思われます。

なお、谷公認会計士・税理士事務所は、経営革新等支援機関の認定を受けており、早期経営改善計画の策定支援にも取り組んでおります。

早期経営改善計画の利用申請や作成資料の詳細につきましては、こちら(中小企業庁のwebサイト)をご覧ください。

 

事業承継税制 平成29年度の主な改正事項

平成29年度の税制改正による非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予及び免除の特例(事業承継税制)の主な改正事項は次のとおりです。
1・贈与税の納税猶予及び免除の特例における相続時精算課税制度の適用
2・非上場株式等の贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予及び免除の特例の適用を受けるときの会社の要件の改正
3・雇用確保要件の計算方法の見直し
4・相続税の納税猶予及び免除の特例等の適用を受ける場合の災害等に関する税制上の措置
なお、1,2及び4の改正は、原則として平成29年1月1日以後に、3の改正は平成29年4月1日以後に適用されます。

1・贈与税の納税猶予及び免除の特例における相続時精算課税制度の適用

非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例の適用を受ける場合であっても、その贈与税額の計算に当たって、暦年課税以外に相続時精算課税の適用が可能となりました。これにより、万が一、要件を満たさなくなり猶予が取り消された場合の税負担のリスクが軽減されることが期待されます。

2・非上場株式等の贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予及び免除の特例の適用を受けるときの会社の要件の改正

①相続開始の時に会社及び特定特別関係会社が、中小企業者であることとする要件が廃止されました。

②先代経営者(贈与者)からの株式等の贈与に係る贈与税の申告書の提出期限の翌日から、同日以後5年を経過する日の翌日以後に先代経営者(贈与者)が死亡した場合には、その相続開始の時に会社及び特定特別関係会社が非上場会社であることとする要件が不要となりました。

(注)特別関係会社とは、この特例の適用に係る会社やその会社の代表権を有する者などが、総議決権数の50%を超える議決権を保有する会社をいいます。

3・雇用確保要件の計算方法の見直し

経営承継期間内において、一定の基準日における雇用の平均として確保する必要がある「相続・贈与時の雇用の8割」を計算するに当たり、その計算した数に1人未満の端数があるときは、その端数を切り捨てた数(相続または贈与時の従業員の数が1人の時は1人)とすることとされました。

例えば従業員4人の会社であれば、4人×80%=3.2人となり、改正前は端数切り上げだったので、5年間平均で4人以上の従業員を雇用している必要がありましたが、改正後は端数切り下げになったので5年間平均で3人以上の従業員を雇用していれば雇用要件を満たすこととなります。

(注)経営承継期間とは、原則として、申告期限の翌日から同日以後5年を経過する日までの期間をいいます。

4・相続税の納税猶予及び免除の特例等の適用を受ける場合の災害等に関する税制上の措置

災害等が発生した日から同日以後1年を経過する日までの間に、相続により取得等をした株式等に係る会社が下記の「(1)会社の事由」の①から③までのいずれかに該当する場合で、「相続税の納税猶予及び免除の特例」の適用を受けるときには、特例の適用要件のうち、「(2)免除される適用要件」のイ及びロが不要となりました。

また、「非上場株式等の贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予及び免除の特例」の適用を受けるときには、特例の適用要件のうち、「(2)免除される適用要件」のイが不要となりました。

(1)会社の事由

①災害により滅失した会社の事業の用に供する資産が、総資産の30%以上である場合

②災害により滅失し、またはその全部もしくは一部が損壊した会社の事業所で雇用されていた従業員数が、災害が発生した日の前日における従業員総数の20%以上である場合

③会社が、中小企業信用保険法第2条第5項第3号または第4号のいずれかに該当することについて証明がされた場合において、その事由が発生した日以後の6カ月間の売上高が前年同期間の売上高の70%以下である場合

(2)免除される適用要件

イ 会社の要件のうち
会社が、相続開始の時において、一定の資産管理会社に該当していないこと

ロ 後継者である相続人等の要件のうち
後継者(相続人等)が、相続開始の直前において、会社の役員であること(被相続人が60歳未満で死亡した場合を除く)

「非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予及び免除の特例」について、その他の詳細については こちら(国税庁のwebサイト)をご覧ください。

公益法人等に財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税の特例の「承認特例」の対象の拡充

公益法人等に財産を寄附した場合の譲渡所得の非課税の特例における承認特例(※1)について、その対象となる財産の見直しがされた上で、その対象となる公益法人等の範囲が拡充されました。平成29年4月以降、「承認特例対象法人」(※2)に対して、その法人の役員など一定の人以外の人が、土地、建物などの財産を寄附した場合で、その他一定の要件を満たすときは、承認特例の対象とされることになりました。

(※1)ここでの承認特例とは、公益法人等に対して財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税の適用に係る申請書の提出があった日から1月以内に国税庁長官の承認をしないことの決定がなかった場合にその承認があったものとみなす特例です。

(※2)「承認特例対象法人」とは、「公益社団法人」、「公益財団法人」、「大学、高等専門学校、幼稚園、小学校、中学校、高等学校など一定の学校を設置する学校法人」、「社会福祉法人」をいいます。

個人が、土地や建物などの財産を法人に寄附した場合には、これらの財産は寄附時の時価により譲渡があったものとみなされ、財産の取得時から寄附時までの値上がり益に対して所得税が課税されます(所得税法第59条第1項第1号)。

ただし、これらの財産を公益法人等に寄附した場合において、その寄附が教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与することなど一定の要件を満たすものとして国税庁長官の承認を受けたときは、この所得税について非課税とする制度が設けられています(租税特別措置法第40条第1項)。

しかし、当該制度については、審査標準期間が明確でなく、承認まで2年以上かかる場合もあるなど活用しにくい面がありました。私立学校については、平成15年4月から承認の特例が適用されていましたが、平成29年4月よりその対象となる公益法人等の範囲が拡充され、一定の要件を満たす場合は承認までの期間が大幅に短縮されることとなりました。

承認特例の要件は4つあります。具体的には下記のとおりです。

1・寄附をした人が寄附を受けた法人の役員等及び社員並びにこれらの親族等に該当しないこと

2・寄附財産が株式等、新株予約権付社債等、匿名組合契約の出資持分に該当しないこと

3・寄附財産について、寄附を受けた法人の区分に応じて、必要な事項が定款で定められていること又は基本金に組み入れる方法により管理されていること

4・寄附を受けた法人の理事会において、寄附の申し出を受け入れること及び寄附財産について不可欠特定財産とすること又は基本金に組み入れることが決定されていること

平成29年度の税制改正により、上記の「2・寄附財産が株式等、新株予約権付社債等、匿名組合契約の出資持分に該当しないこと」が追加されました。

承認特例の適用を受けるための申請手続きは下記のとおりです。

1・申請書を提出する人
原則として、寄附をした人です。遺贈の場合は、遺贈をした人の相続人及び包括受遺者です。

2・申請書の提出先
寄附をした人の所得税の納税地を所轄する税務署に提出します。

3・申請書の提出期限
原則として、寄附の日から4か月以内です。ただし、その期間を経過する日前に寄附をした日の属する年分の所得税の確定申告書の提出期限が到来する場合には、その提出期限までとなります。

詳細につきましては、こちら(国税庁のwebサイト)をご覧ください。