社会福祉法の改正と消費税の申告期限

社会福祉法の改正により、平成29年4月1日以降、社会福祉法人は、毎会計年度終了後3月以内に、各会計年度に係る計算書類等(貸借対照表、収支計算書、事業報告、附属明細書、財産目録)を作成しなければならないことになりました。平成29年4月1日以前は、毎会計年度終了後2月以内に計算書類等を作成しなければいけませんでした。計算書類等の作成期限が1月延びたのですが、消費税の申告期限はどうなったのかと疑問に思われた方もいらっしゃるかと思います。

これについては、平成29年3月29日に厚生労働省社会・援護局福祉基盤課より「社会福祉法人制度改革に伴う消費税の申告に関するQ&Aについて」が出されており、社会福祉法の改正後においても、消費税の申告については、会計年度終了の日の翌日から2月以内に申告書を税務署長に提出しなければならないことが明らかにされています。

なお、計算書類等の作成は、会計年度終了後3月以内となっているため、消費税の申告期限までに、定時評議委員会の計算書類等の承認が行われていない場合もあるかと思います。

消費税の申告に当たっては、必ずしも計算書類等について定時評議委員会の承認を受けておく必要はなく、当該申告後に計算書類等に間違いが見つかり、納税額に変動が生じた場合は、修正申告または更正の請求の手続きを行うこととなります。

法人設立届出書などの手続きの簡素化

平成29年度税制改正により、企業が活動しやすいビジネス環境整備を図る観点から、法人設立届出書、収益事業開始届出書などへの登記事項証明書の添付が不要となりました。また、納税者の円滑・適正な納税のための環境整備を図る観点から、異動届出書、消費税異動届出書などの提出先のワンストップ化が図られています。

1.登記事項証明書の添付省略について
企業が活動しやすいビジネス環境整備を図る観点から、①法人の設立・解散・廃止などの届出書等において添付が必要とされていた「登記事項証明書」②税務署からの求めにより添付していた「登記事項証明書」について、平成29年4月1日以後、以下の対象届出書等への添付が不要となりました。

・法人設立届出書
・外国普通法人となった旨の届出書
・収益事業開始届出書
・普通法人又は協同組合等となった旨の届出書
・法人課税信託の受託者となった旨の届出書
・表示事項省略(異なる表示の)承認申請書
・酒類業組合(連合会、中央会)成立届出書
・酒類業組合(連合会、中央会)解散届出書
・酒類業組合(連合会、中央会)役員等異動書
・酒類販売管理研修の実施団体の指定申請書
・営業等開始・休止・廃止申告書
・石油石炭税委託採取開始申告(終了届出)書
・営業等承継申告書

2.異動届出書等の提出先のワンストップ化について
納税者の円滑・適正な納税のための環境整備を図る観点から、異動前と異動後の双方の所轄税務署に提出が必要とされていた異動届出書等については、平成29年4月1日以後の納税地の異動等により、以下の対象届出書等を提出する場合、異動後の所轄税務署への提出が不要となりました。

平成29年4月1日以後の提出先が、変更前の納税地の所轄税務署長の届出書等
・所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書

平成29年4月1日以後の提出先が、異動前の納税地の所轄税務署長の届出書等
・所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書
・異動届出書
・消費税異動届出書
・一般送配電事業の開廃等の届出

平成29年4月1日以後の提出先が、移転前の納税地の所轄税務署長の届出書等
・給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書

平成29年4月1日以後の提出先が、納税地の所轄税務署長の届出書等
・個人事業の開業・廃業等届出書(注)

(注)その移転前の事務所等の所在地とその移転前の納税地とが同一であり、かつ、その移転後の事務所等の所在地とその移転後の納税地とが同一である場合は、提出先がその移転前の納税地の所轄税務署長となります。