仮想通貨に関する所得の計算方法等

ビットコイン等の仮想通貨を売却または使用することにより生じる利益については、原則として、雑所得に区分され、所得税の確定申告が必要となります。確定申告にあたり、仮想通貨を売却または使用することにより生じる損益を、どのように計算するかが気になるところですが、それについては、平成29年12月1日に国税庁のwebサイトで、個人課税課情報第4号「仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)」が公表されました。その概要は下記のとおりです。

・仮想通貨の売却
保有する仮想通貨を売却(日本円に換金)した場合、その売却価額と仮想通貨の取得価額との差額が所得金額となります。同一の仮想通貨を2回以上にわたって取得した場合、当該仮想通貨の取得価額の算定方法は、移動平均法を用いるのが相当とされています。ただし、継続して適用することを要件に、総平均法を用いることも容認されています。

・仮想通貨での商品の購入
保有する仮想通貨を商品購入の際の決済に使用した場合、その使用時点での商品価額と仮想通貨の取得価額との差額が所得金額となります。

・仮想通貨と仮想通貨の交換
保有する仮想通貨を他の仮想通貨を購入する際の決済に使用した場合、その使用時点での他の仮想通貨の時価(購入価額)と保有する仮想通貨の取得価額との差額が、所得金額となります。

・仮想通貨の分裂(分岐)
所得税法上、経済的価値のあるものを取得した場合は、取得時点の時価を基にして所得金額を計算します。仮想通貨の分裂(分岐)に伴い、新たに誕生した仮想通貨を取得した場合については、分裂(分岐)時点において取引相場が存在しておらず、同時点においては価値を有していなかったと考えられます。したがって、その取得時点では所得は生じず、その新たな仮想通貨を売却または使用した時点において所得が生じることとなります。なお、その場合の取得価額は0円となります。

・仮想通貨に関する所得の所得区分
ビットコイン等の仮想通貨を売却または使用することにより生じる損益については、原則として、雑所得に区分されことは、記事の冒頭に記載したとおりです。しかし、事業所得者が、事業用資産として仮想通貨を保有し、決済手段として使用している場合、その使用により生じた損益については、事業に付随して生じた所得と考えられますので、事業所得に区分されます。このほか、その収入により生計を立てていることが客観的に明らかであるなど、その仮想通貨取引が事業として行われていると認められる場合にも、その所得区分は事業所得となります。

・損失の取り扱い
仮想通貨の取引により、雑所得の金額に損失が発生した場合、雑所得以外の他の所得(給与所得等)と通算することはできません。所得税法上、他の所得と通算できる所得は、不動産所得・事業所得・譲渡所得・山林所得とされています。雑所得は、これらの所得に該当しないので、その所得の金額の計算上生じた損失がある場合でも、他の所得と通算することはできません。

なお、仮想通貨の売却等の数値例や計算方法等の詳細については、こちら(国税庁webサイト)をご確認ください。